第11回 効果的な勉強・学習⑥
- nakagami94
- 2 日前
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更新日:6 日前
記憶の種類を大きく分類してみますと、3つに分けられます。それは、意味記憶、手続き記憶、エピソード記憶です。この中でMRテキストなど教科書の内容を記憶するうえでは、エピソード記憶が長期記憶化しやすいため、今回はこのエピソード記憶を中心について、話しをしていきます。
記憶の種類

本題に入る前に、記憶の3つの種類(意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶)をみておきましょう。
まず「意味記憶」とは、一般的な知識や情報・事実を頭に保持する記憶のことです。
簡単にいうと「バナナは黄色い。」とか「日本一、高い山は富士山」というようなことですが、MRテキストの内容でいうと「ミトコンドリアはATPを産生する。」とか「胃酸は壁細胞から分泌される。」といったようなことです。このようにシンプルに、ある1点に絞った内容を覚えるには何も問題ありません。
しかし、これが「ミトコンドリアは解糖系で産生されたピルビン酸を素にして、TCA回路や電子伝達系という代謝経路を使ってATPを産生する。」といったことを記憶するには、意味記憶では結構なパワーが必要になり負荷がかかりますね。
そこで、お勧めなのが「エピソード記憶」です。エピソード記憶は、個人的な経験やイベントを、時間や場所などの文脈と紐づけて記憶するしくみのことです。実際に経験していなくても、ストーリー化(イメージ)して、あたかも経験かのようにして覚えるテクニックです。抽象的な説明になったので、具体例を次のセクションで紹介します。
あと最後に、手続き記憶です。これは技能や習慣の記憶で、知識を頭に入れるという点では少し異なるものです。
例でいうと、一番わかりやすいのは自転車の乗り方かと思います。どのようにバランスをとって、うまくペダルを漕いで乗れるかを体が覚えている記憶というイメージです。

エピソード記憶
さきほどのミトコンドリアを例にエピソード化してみます。このドラマ(というより夢?)の主人公になったつもりでイメージしてください。
「(私は)スーパー銭湯ミトコンドリアに行きました。すると、”解糖系”と
書かれたドアからピルビンさん(酸)
というオッサンが入ってきて、湯船に浸かったり(TCAったり)や電気風呂(電子伝達系)でゆっくりしていました。
何かブツブツとつぶやいているようだったので、聞き耳を立てると「あ~(A)、とっても(T)ポカポカ(P)で気持ちいい~」だって。知るか!(怒)」
さて、文章で書くと長いですが、状況をイメージすれば一瞬です。想像力というか、もはや妄想力ですね。最後に「知るか!」というような感情を入れたオチにするのも、第9回のブログの内容と複合するので、より効果的です。
このように体験はしていませんが、あたかもそういう状況に出くわしたことを強くイメージ(妄想)すると、結構、長期記憶化しやすいものです。
さいごに
前回のブログで擬人化して覚えるというような話もしましたが、 これもエピソード記憶の1つですね。
私は新しい用語や略語を覚えたいときは(例えば「テロメア」とか「NAFLD」としたら)

そのまま文字をイメージして覚えようとせず(意味記憶で覚えようとせず)、コンビニに入って買い物をするという設定のストーリーを思い浮かべます。
どういうことかといいますと、
コンビニに入って飲み物を買おうしたら、奇抜で派手なラベルの「新商品!テロメア」というペットボトルを想像してみたり、「新ノンアルコール飲料!NAFLD」という缶を手にとって「これ、すげー飲み物だな!」と感情を入れるようなことをします。
私なりのエピソード記憶のテクニックです。次回は「逆転思考」について、お話ししてみます。
プロネスティ株式会社
代表取締役 中上 博之
